ARC 1 / SCENE 3 — 専門家を機械に閉じ込める
MYCIN — 診断を逆からたどる
ゴール「原因菌」からルールの網を逆にたどり、
どのルールも結論しない項目に行き当たったときだけ質問が生まれる。
答えの確信度が網を伝わり、0.2 以下に落ちた枝は消える。
1972 年からスタンフォードで作られた、細菌血症と髄膜炎の診断システム。
ルールは 450〜600 本あった。ここでは 6 本で動かす。
次の質問はどう決まるか
説明
図はルールの網。左が質問(検査・患者情報)、中がルール、右が候補の菌。
「感染の種類」だけは中間にあり、R010・R011 の結論が R052・R108 の前提になる。
質問に答えると確信度が右へ伝わる。前提の累積が 0.2 以下になったルールは消灯し、
そのルールしか使わない質問も消える。発火したルールは緑になり、候補のゲージが伸びる。
構成図
左=質問 中=ルール(×.6 はルールの確信度、斜線=累積 0.2 以下で打ち切り) 右=候補(縦線=下限 0.2)
式と計算
- 説明機能
- 対話の途中で
WHY と HOW を打てた。WHY は試している最中のルール、
HOW は結論を出したルールと前提を表示する。
- EMYCIN
- ルールを取り除くと推論部分だけが残る。別分野のルールを入れれば別のシステムになる。
1980 年代のエキスパートシステムはこの形で作られた。
- 成績(Yu ほか, JAMA 1979)
- 髄膜炎 10 症例を伏せて評価した試験で、処方が「受け入れられる」と判定された割合は
MYCIN が 65%、比較された感染症専門医 5 人が 42.5〜62.5%。
- 臨床では使われなかった
- 誤診の責任の所在が決まらず、当時は大型計算機の端末に 1 症例あたり数十分を要した。
※ ルールは Buchanan & Shortliffe (1984) の書式に沿った 6 本の例で、
RULE037 以外は説明のために構成したもの。実物の 450〜600 本のルール表ではない。
制御(全ルールを試す・しきい値 0.2 は前提の評価中に効く)は EMYCIN の実装
(P. Norvig, Paradigms of AI Programming 第 16 章)に依った。